VRクリエイターを探している企業も多くなりました。VRが有名になるにつれ、企業にもVRを取り入れようとする動きがあります。一般的にVRクリエイターを目指す若者は増加傾向にありますが、企業側もVRクリエイターを求めています。しかし、VRは最新技術であるゆえに、熟練のクリエイターがいません。企業がVRクリエイターを探したり、育成するためのコツを紹介します。
VRクリエイターになりたい人は多い
現実には存在していない世界を作り出すVR技術。
PlayStation VRなどの、比較的安価な機器類が普及したことにより、若い世代を中心に広がりを見せています。そのため、今後はVRを含むメタバースは、ビジネスに大きな変化をもたらしているでしょう。
メタバースとは、共有型仮想空間のことです。
VRで述べるなら、メガネのような機器が存在するだけではVRの意味がありません。メガネを装着して、目の前に映る映像があるからこそ、仮想空間を楽しむことができます。
しかし、企業人の中には最新情報に疎い人もいるのではないでしょうか。
「昔はそんなものなかった」と言いたくなる年代の人もいるでしょう。「自分はアナログ人間なんだ」と言うほど、VRやAR、メタバースなど専門的な言葉は理解不能の方もいるかもしれません。
ただ「企業の方針としてVRクリエイターを求める必要がある」と感じている人のために、本記事を作成しました。
1-1. VRクリエイターとは
専門知識がない状態では、VRクリエイターと呼ばれる人の存在すらわからないかもしれません。
VRクリエイターとは、VR機器(メガネのようなもの)を装着した際に現れる仮想空間を作る人のことです。テレビやラジオなどと異なり、画面の向こう側に人間が存在しているとは限りません。
まさに仮想空間であり、現実世界とは異なる世界が存在します。
その仮想空間を作り出しているのが「VRクリエイター」です。無から有を作り出す作業であり、エンジニア的な役目も果たすことが多いため「VRエンジニア」と呼ばれる場合もあります。
1-2. VRクリエイターの仕事内容
VRクリエイターは仮想空間を作り出します。有名なのはゲームです。
前述のPlaystation VRなどは、メガネのような機器を使用して仮想空間にゲームを映し出します。テレビゲームやスマホゲームと異なるのは、映像が立体なだけでなく360度どんな角度でも見渡せる点が挙げられます。
上下左右どちらの方向に首を傾けても、現実世界で目に見えるのと同じような世界がVRゲーム内に広がっています。VRクリエイターは、その仮想空間を生み出しています。
比較してARは、現実世界に仮想世界を映し出す技術のことです。「Pokemon GO」では、スマホカメラをかざすだけで、まるで現実世界にポケモンが存在しているに見える技術がARです。
※本記事ではVRクリエイターに特化して紹介しています。
VRクリエイターになると、実際の仕事内容は以下でしょう。
- プログラミングを活用して仮想空間を生み出す
- 仮想世界に必要な映像を作る
- 必要があれば実写撮影する
- 動画編集
- VR映像と音声の一致(不一致)を確認・修正
- バグの有無を確認し、修正
ほとんどがPCを使用した作業で、プログラミングを必要とする場合もあります。そのため、以下のようなスキルが必要と言われています。
1-3. VRクリエイターが身につけるべき能力
ゲームを開発するには、以下のエンジンを使用します。
- Unity
- Unreal Engine
「Unity」はスマホゲームを作る際に使用し、「Unreal Engine」はリアル3Dゲームを制作するために使用します。ゲーム開発エンジンを利用すれば、プログラミング言語が理解できなくてもゲームを制作できます。
しかし、VRクリエイターにはバグの修正など、細かな作業も必要になるため以下のプログラミング言語を使用できることが求められます。
- JavaScript
- C#
- Blue Print
- C++
- Ruby
- Go
プログラミング言語は複雑で、独学で学ぶのには限界があるかもしれません。企業がVRクリエイターを探すのに困惑するのは、複数のプログラミング言語を習得している人材が少ないからかもしれません。
1-4. VRクリエイターの平均年収
VRクリエイターの平均年収は、年々上昇しています。まだ新しいビジネスモデルでもあるため、平均年収など明確な数値が割り出せるわけではありません。
しかし、企業としてVRクリエイターを雇う場合には、報酬を準備しないわけにはいきません。他の企業がどの程度の報酬を準備しているか、相場で判断するようにします。
Indeedなどの求人情報をみると、約450万円から500万円程度の年収を準備している企業が多いようです。
アメリカでは2018年から2019年の1年間で、VRクリエイターの年収は14倍になりました。日本の企業がVRに力を入れていくのは当然とも言え、今後もVRクリエイターの年収は向上していくでしょう。
そのため、企業が報酬を準備する際には、将来を見越した報酬額を検討する必要がありそうです。多くの企業では「450万円〜900万円」のように、報酬額に幅をもたせてVRクリエイターを探しています。
企業がVRクリエイターを求める理由
企業がVRクリエイターを求めるには、主に以下の理由があるでしょう。
- 業界の動向を考えている
- 将来性を見越している
- ビジネスの新天地として取り入れる
あなたの立場は企業のトップではないかもしれません。しかし、上司や経営陣から「VRを取り入れろ」と指示を受けているのでしょう。
VRクリエイターを求めるのも、企業の方針に従っているからかもしれません。企業がVRクリエイターを求める理由を、簡単に説明します。
2-1. 業界の動向を考えている
これまでゲームを作成している企業なら理解しやすいものです。業界全体が二次元のゲーム機からVRやARを使用したゲームに移行しようとしています。そのため、ゲームを制作している企業は、業界の動向に合わせて新たなVRゲーム制作を求められています。
近年では、かつてのゲーム機(ファミコンやゲームボーイなど)が人気を集める傾向もありますが、一過性のものだと考えられます。一種のプレミア扱いでしょう。
一方、VR技術を取り入れたゲーム機はまだ人気に火がついているとは言い難いものがあります。理由は、従来のゲーム機と比較するとVR機器はまだ高価であるためです。
一般的な人がVR機器を手に入れるには、他の何かを我慢する必要があります。簡単に手に入れられる代物ではないのです。しかし、業界全体がVRやARを取り入れたゲーム機を制作していく流れがあり、今後はゲーム機自体もVR搭載などが主流になると考えられています。
2-2. 将来性を見越している
ゲーム会社でなくても、VRクリエイターを求める傾向があります。それは、将来性を見越しているからに他なりません。VRやARの技術は、ゲームに特化した話ではないからです。
例えば、以下の分野にも活用されると予想されています。
- 建築
- 教育
- 医療
- 旅行関連
- 不動産
- 自動車
挙げればきりがないほど、たくさんの分野でVR技術が利用できると予想されています。例えば教育を例にします。
教育では「立体の体積」などを求める問題を、生徒にわかりやすく教える必要がありました。しかし、これまでの教育では「立体」を紙ベースで見ることは難しく、体感的な学習が不可能でした。
映像授業を取り入れたことで、少し理解度が深まったとされていますが、手に触れて体感するのは不可能と言えます。しかし、VR技術を取り入れることで、まるで手に取ったような感覚を生徒に体験させることができ、実体験として学習を進められるようになります。
建築や旅行関連などは、行ったことがない土地や建物に触れられると考えればわかりやすいでしょう。それぞれの企業で、VRを取り入れた活動が進んでいるため、「体験」を重視した商品が提案される日も近いと言えます。
それに合わせ、あなたの企業でも将来を見越したビジネス展開が考えられているでしょう。
2-3. ビジネスの新天地として取り入れる
これまで映像関連のビジネスには縁がなかった企業でも、時代の流れに合わせてVRを取り入れる傾向があります。
特に建築などの現場仕事では、VRは無縁とされていました。しかし、危険を伴う現場だからこそVRを取り入れなければいけないという動きがあります。
そのため、従来の固執したアナログ思考から脱却しなければと考えている企業も多いでしょう。VR技術を取り入れることで、危険を回避できる可能性も高まるからです。
現場関連の人は、VRなどの先進技術に触れた経験が少ない場合が多いでしょう。そのため、VRクリエイターを外部から探すことが求められます。
VRクリエイターになりたい人を探すには
VRクリエイターを探すには、「VRクリエイターになりたい人を探す」のが良い方法とされています。VRは最新技術の1つです。VRクリエイターという職業も、新しい職業といえます。
そのため、熟練度が高いVRクリエイターは存在していません。ベテランを探すのではなく、これからVRクリエイターとして活躍したいと願う人を育成する方向で探してみてはいかがでしょうか。
人材を探すには以下の方法があります。
- 求人募集する
- 企業から引き抜く
- スクールに通う学生に目星をつける
中でも「スクールに通う学生に目星をつける」のが、今後のビジネスに大きな影響を与える方法といわれています。
スポーツ界では「青田刈り」と呼ばれる方法ですが、VRクリエイターにはベテランが存在しません。最先端の情報は、スクールに通う学生が握っているのです。
若者だからこそ電子機器にも強く、専門のプログラミングなどを学んだ学生は、VRクリエイターとして即戦力として活躍できるでしょう。
スクールに通う学生に目星をつけるには、スクールと連携を図るのが最も効果的です。スクールに連絡をとり、求人募集をかける要領で学生を紹介してもらいましょう。
VRクリエイターを育成するには
新たな人材を募集するのではなく、既にいる企業内の人材を育成する方法を紹介します。
全く未経験の人が、VRクリエイターとして活躍するまでの手順は以下のとおりです。
- VRクリエイターに興味がある人材を探す
- スクールなどを活用する
- 資格取得(VR技術者認定試験)を促す
簡単に説明していきます。
4-1. VRクリエイターに興味がある人材を探す
企業の中にVRクリエイターに興味がある人を探しましょう。口頭で質問したり、アンケートをとるなどするのも良い方法です。
現代は副業解禁の時代とも呼ばれ、副業に興味がある若者がたくさんいます。そして、副業での注目度はダントツで「プログラミング」が有名です。
ゲームに慣れ親しんだ平成生まれ世代には、VRを知らない人は存在しないかもしれません。中には隠れてVRクリエイターを目指している人もいるでしょう。
現在の企業でVRクリエイターを目指せるとすれば、我こそがと手を挙げる人も存在するでしょう。
4-2. スクールなどを活用する
VRクリエイターに興味がある人材が見つかれば、専門知識・技術を身につけなければいけません。企業内に専門機関が存在すれば良いですが、ほとんどの場合は専門知識を保有した人材がいないはずです。
そのため、スクールを活用することになります。
企業から資金を出すなど、経費が必要な場合もあります。しかし、人材をスクールに通わせると、人材育成以上のメリットも存在します。
メリットとは「スクールと関係性が生まれる」ということです。スクールと連携がとれるようになれば、次世代のVRクリエイターを紹介してもらえるようになるかもしれません。
4-3. 資格取得(VR技術者認定試験)を促す
スクールに通うと取得を促される場合もありますが、VR技術者認定試験を受けるように促すと学習意欲を向上させられます。
当然ながら「目標」がなければ、やる気が向上しません。VRクリエイターは新しい職業であるため、優れた情報も少ないのが現状です。
VR技術者認定試験を促せば、スクールに通わなくても専門知識を学ぶ目標になります。スクールに通う費用がないなど、経費を抑えたい場合におすすめの方法です。
長期的なビジョンに合わせてVRクリエイターを育成する
VRは業界だけでなく、全てのビジネスに影響を与えつつあります。どんな職場でもVR技術を取り入れる動きがあり、あなたの企業でもVRクリエイターを求める動きがあるのでしょう。
しかし、現在にはベテランのVRクリエイターは存在していません。そのため、若い世代を育成する考え方で、次の時代を考えるしかありません。
若者ならではの発想を企業が受け入れ、新人教育の一環としてVRクリエイターを育成するのも手段でしょう。
10年後や20年後には、VRが当たり前の世界がくると言われています。プログラミングが副業人気を集めているのも、将来を見越した若者が多いからでしょう。
企業も従来の考えを捨て去り、若者を育成する思考を強化しなければいけないときが来ているのかもしれません。